COC概論第5回、第6回を実施しました。

「COC概論」の第5,6回目の講義を実施しました。今回は、産学公連携系プロジェクトフィールドを担当する環境人間学部の吉村教授、坂本教授、伊藤教授からのご講演と、姫路市教育委員会から田村指導主事、姫路市保健所から高見係長にお越しいただきました。以下が概要となります。

 

COC概論 第5、6回(2015年5月20日)

産学公連携系プロジェクトフィールド担当回
(ご講演順)

・3限目(13:00~14:30)
「産学公連携系プロジェクトフィールドの概要」
吉村美紀 教授(環境人間学部)
坂本薫  教授(環境人間学部)

・4限目(14:40~16:10)
「食と健康に関わる姫路市の取組み」
高見智子 係長  (姫路市保健所健康課)
田村真由美指導主事(姫路市教育委員会健康教育課)

・質疑応答及びトークセッション
伊藤美紀子教授(環境人間学部)
坂本薫  教授(環境人間学部)
高見智子 係長  (姫路市保健所健康課)
田村真由美指導主事(姫路市教育委員会健康教育課)
吉村美紀 教授(環境人間学部)

 

学生のレポート執筆

 

3限では吉村教授から、産学公連携系プロジェクトフィールドでの取組みについて、姫路市の地理的特性や、地域の現状を概説されました。また、それをふまえて先端食科学センターは、地域の健康課題に「食」の観点からアプローチしており、課題解決に向けた様々な具体的な活動について講義が行われました。また、活動の中から「災害時の栄養課題に関する取組み」については、担当されている坂本教授からさらに詳しい講義が行われ、学生からは「災害時は生きることで精一杯という印象があったが、栄養についての課題は確かに重要な問題だと再認識した。」という感想が聞かれました。

写真1 吉村教授による講演

写真1 吉村教授による講演

写真2 坂本教授による講演

写真2 坂本教授による講演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4限では、姫路市保健所健康課の高見智子係長、姫路市教育委員会健康教育課の田村真由美指導主事によるプレゼンテーションが行われました。高見係長からは、「姫路市の高齢者対策いきいき百歳体操の取り組みについて~」と題して、姫路市の高齢人口の増加や、それに対する姫路市の施策についてお話がありました。また、田村指導主事からは、「学校給食と食育における取り組み」についてお話しいただき、地産地消の推進に向けた地場産品を取り入れた学校給食の紹介や、食育の一環として行われる「手作り朝ごはんコンテスト」の活動についてお話しいただきました。特に「いきいき百歳体操」の活動内容については、たくさんの学生の興味関心を引き、学生からも多数の質問がありました。

 

写真3 高見係長によるご講演

写真3 高見係長によるご講演

写真4 田村指導主事によるご講演

写真4 田村指導主事によるご講演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引き続き行われたトークセッションでは、学生から提出された質問紙による質問について登壇者の方にお答えいただきました。
質問は「姫路市の特産品には例えばどのようなものがあるか」や「災害時の食料備蓄について、どのような高齢化対策を行っているのか」など、授業に関連したさらに詳しい情報を聞きたいというような内容が多くみられました。時間の関係で、全ての質問に答えることは叶いませんでしたが、後日、改めて、質問に対する回答をまとめて、本ページを更新する予定です。

写真5 フロアからの質問の様子①

写真5 フロアからの質問の様子

写真6 フロアからの質問の様子②

写真6 フロアからの質問の様子②

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当日の質問内容について、登壇者の方々からのご回答を得ましたので、以下に掲載します。
授業の振り返りに活用してください。

 3限の内容について
[姫路について](坂本先生)
●姫路の特産品には例えばどのようなものがあるか。
太市のたけのこ、姫路レンコン、姫路しょうが、軟弱野菜、前どれの魚介類など、いろいろな農産物、水産物があります。姫路市内に限らず播磨地域に範囲を広げると、播州そうめんや淡口醤油などなど、もっと多くのものが挙げられます。

 

●姫路市の食料備蓄はなぜ低いのか。
姫路市が特に低いのではありません。飲料水を含めた食糧備蓄は3日分、可能ならば1週間分を備蓄することが推奨されていますが、自治体で備蓄できる量には限りがあり、市民全体に行き渡るように備蓄することは特に都市部では全く不可能です。備蓄場所の問題もあります。だからこそ、住民一人一人が各自で備蓄する必要があるのです。

 

[災害時の食料について] (坂本先生)
●災害時の食料備蓄について、どのような高齢化対策を行っているか。
固い乾パンは高齢者が食べられなかったというような過去の反省より、多くの自治体や施設では、レトルトの粥を備蓄するなどにより高齢者にも対応できるようにしています。高齢者施設(老人ホームなど)の多くでは、咀嚼困難な高齢者に応じた食糧備蓄を行っています。

 

●災害時の食事は男女で同じなのか。
厚生労働省が示している「被災後3ヶ月以降の避難所における食事提供の評価・計画のための栄養の参照量」では男女の別はありません。
(厚生労働省、www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/chiiki-gyousei_03_08.pd)
体格や活動量によってエネルギー量は異なっても、男女で必要量はほとんど変わらない栄養素もありますし、女性のほうが多く必要とする栄養素もあります。実際には、量で加減するというような対応を行っています。

 

●糖尿病の患者などの食事はどうするのか。
高齢者や乳幼児、アレルギーの人や傷病者用にも対応できるように対策が取られようとはしていますが、すべてに対応することは非常に困難です。持病のある人は、その病状に合わせた食糧備蓄を自ら行っておく必要があります。救援物資の中には、病者用の物資も多くあったようですが、それらの物資を必要としている人のところに届けることは至難の業です。物資を仕分けする人にも管理栄養士のような専門知識を持った人が必要ですが、そのような人が災害時に必要なところに配置されているわけではないからです。しかし、これらの反省を踏まえて、例えば日本栄養士会ではボランティアを募って、災害時に食の支援活動ができるような人材の育成活動を行っています。

 

●四季によって提供する食事を変えるということだが、備蓄食品も変えるのか。
献立は、季節に応じて対応できるよう、また、少しでもほっとできる食事を提供するために季節感のある食事が提供できるように、普段から考えておくとよいと考えられます。

 

●災害発生時の備蓄食品はどのように配布しているか。足りない場合にはどうするのか。
流通経路が遮断されて救援物資が届かないことは多くあります。足りないことも多くあります。実際に不足する、配布できない、食べ物が無い、ということが多く起きました。あっても食品の種類に偏りが大きく、栄養バランスが取れていませんでした。配布される食品ですべてがまかなえると考えるのは無理があります。

 

●災害時の食料はどの程度の量を地域に備蓄しておけば良いか。
推奨されている最低3日分の食料であっても、備蓄場所などの問題から、十分な量は備蓄できないのが現状です。また、流通経路が遮断されて備蓄場所から運べないこともありえます。いざというときにはお互いに物資の提供をし合うという提携をしている自治体や施設もありますが、「地域に備蓄」と地域をあてにするのではなく、各自での対応が現在のところ必要です。

 

●備蓄食料の保存の工夫には例えばどのようなものがあるか。
冷凍食品は、ライフラインが途絶えたときには電気が得られず、困ります。備蓄食品としては缶詰やレトルト食品、ペットボトル等の形態が多いですが、米やじゃがいも、たまねぎなどの日持ちのする野菜を常に多めに購入しておき、消費しながら補充することを繰り返す「ランニングストック法」という方法もあります。飲料水も、汲み置きしておく水を洗濯や水やりに使用しながら毎日入れ替えるようにすれば、手間はかかりますが、特に水として購入しておかなくても水道水で対応できます。

 

●災害発生時に衛生面の知識を持った調理の人員をどうやって確保するか。
確保はできません。体の弱った人もおられる中で、災害時のストレスの大きいときには特に衛生的な食事提供が望まれます。そのことが問題と考え、専門知識のある管理栄養士等がボランティア活動を展開しようとしていますが、実際の災害時にどのくらいボランティアで対応できるのかはわかりません。被災地までたどり着けないかもしれません。専門家でなくても、普段から地域の防災訓練等で衛生的な炊き出し等の体験をしておけば、対応可能となると思われます。学生の皆さんも自らいかがですか。

 

●災害時用に開発したレシピに必要な材料は有事の際にも入手できるのか。(野菜ジュースなど)
野菜ジュースは、救援物資としてポピュラーです。しかし、災害の規模や場所、時期等々、さまざまな要因により、何が手に入るかは全くわかりません。何も入手できない可能性もあります。そのため、各自で備蓄する(自助)必要があるのです。災害時用に開発したレシピは、災害時でも比較的入手し易いと思われる食材で構成していますが、実際に入手できるかどうかについては、何の保障もありません。

 

[棚田LOVERSについて] (吉村先生)
●メインの活動はどのようなものか。
棚田の農薬や化学肥料を使わない米づくり、その普及啓発や地域活性化の企画です。

 

●なぜ棚田を活動対象にしたのか。機械が入らないから不便ではないか。れからのビジョンを知りたい。どのぐらい継続するか、最終目標は何か。
不便ですが、地滑り防止、美しい景観、洪水調整・保水・食の生産地など多様な付加価値をもつ棚田を未来につないでいくことに強い思いを持っているため活動の対象にしています。

 

[食材について] (吉村先生)
●播州うどんとはどのようなものか。普通のうどんとの違いは。由来は。
播磨地域では、良質の小麦粉、赤穂の塩を用いた播州そうめん、播州うどんがあり、伝統的な製法に新製法などの研究が重ねられ、麺ののどごし感、清涼感などの食感が優越したものがあります。播州うどんのはっきりした定義はありませんが、播州地域でつくられるうどんを播州うどんまたは播磨うどんと呼んでいます。

 

●播州うどんは若者にはアピールできないのか。
播州うどんはブランド化で讃岐に勝てるのか。素麺に特化したほうが良いのではないか。
確かにうどんで讃岐のうどんに勝つことは困難ですし、素麺に特化することも良い考えと思われます。一方で冬場はうどんの消費量が増えることと、地域で生産されたものをその土地で消費しようという地産地消の考えから、播州うどんの推進は、トレーサビリティが容易であり安心して入手することができ、地域の活性化に役立つと考えています。

 

●α米と普通の米の違いは何か。
アルファ化米とは、でんぷんを一旦アルファ化米させてから保存性をよくするために乾燥させた米のことです。普通の精白米は、炊かなければ食べられません。炊くためには、水を加えて加熱して、98℃以上を15分以上保ち、米のでんぷんをアルファ化させなければなりません。災害時には加熱もままならないことが想定されますので、一旦アルファ化させた米を乾燥させたアルファ化米を備蓄しておけば、水でも戻して食べることができます。

 

●酒米と普通の米の違いは何か。
ボイセンベリーは姫路地域とどのような関係があるか。
ボイセンベリーについては、環境人間学部において機能性の研究をしています。今後、姫路地域の新しい特産品にしていくことを期待しています。

 

[プロジェクトについて] (吉村先生)
●生成副産物の再利用の例には小豆以外にどのようなものがあるか。
●対象の食材をどのようにして選んでいるか。あずき煮汁に目をつけたきっかけは何か。
近年、環境保護の観点から、食品加工で生じる副産物を未利用資源と捉え、有効利用する動きが活発になりつつあります。加工副産物としては豆腐製造過程のおから、酒製造過程である副産物や醸造日生成物で生産される物質に効果があることなどが注目され、再利用されています。製餡工程で大量に生じる小豆の煮汁は、その大部分が廃棄されており、有効利用が望まれています。姫路には、小豆の製餡を扱う企業があり、企業からの研究依頼があったことも、本研究への取り組みのきっかけになりました。

 

●食材の調査や研究から、実際の行政施策が生まれた事例を紹介して欲しい。
たとえば、平成27年4月から機能性表示制度が始まっています。これは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官に届けられたものです。これらの機能性表示食品の科学的根拠は食材の研究に基づくものです。

 

●研究成果や新しい食材について、どのように情報を発信しているか。
研究成果は学会での口頭発表、論文発表などを通じて発信しています。さらに書籍、マスメディアなどにより情報を発信することもあります。

 

 4限の内容について
[産学公連携プロジェクトについて] (伊藤先生)
●大学の取り組みはわかったが、企業や地方自治体はどのように関わっているか。
企業・地域のニーズと大学のシーズを組み合わせてプロジェクトを推進していく事が地域の発展や地域貢献につながります。例えば大学と企業が共同研究を進めることで、大学がこれまで埋もれていた食品・食材、生産副産物などを発掘し機能性などの付加価値を研究し、その後、自治体の協力を得ながら特産物として広報する事で地域活性化につなげていく。また、姫路市(保健所、教育委員会など)が取り組まれている課題、大学主体の新たな調査などから多面的に解析し、今後の市民の健康増進に活かしてもらうなどがあります。

 

●姫路の取り組みは広く兵庫全体の課題への取り組みとどのようにつながってくるか。
現在は姫路を中心に行っていますが、その手法や解析結果を兵庫県全体に活かせると考えていますし、本取り組みには学生・院生も参加していますので、その過程で学んだ事を将来活かしてくれるものと考えています。

 

[食の取り組みについて] (吉村先生)
●酒米の他の加工品にはどのようなものがあるか。
酒米の他の加工品としては、クッキーなどの加工品に取り組んでいます。

 

●地産地消の推進によって、県外に流通させる野菜や魚が減ってしまうのでは。
地産地消では、トレーサビリティが容易であり鮮度の高い食材を安心して入手することができ、地域の活性化に役立ちますので、その地域で取り組んでいくことになります。食材によっては県外流通が望まれるものもありますが、地産地消では、食材の輸送距離が短いことから二酸化炭素の排出量を減らすことができ、環境への不可も低減できると考えられます。

 

[食育の取り組みについて] (田村様)
●食育で家庭との連携があれば教えて欲しい。
児童生徒が食に関する理解を深め、日常の生活で実践していくことができるようになるためには、学校と家庭との連携を密にし、学校で学んだことを家庭の食事で実践するなど家庭において食に関する取り組みを充実する必要があります。そのために、市や学校からの積極的な啓発等の働きかけを行っています。具体的には、情報発信として「学校だより」「給食だより」「学校ホームページ」に食育情報を記載し発信しています。また、オープンスクールや参観日における、食育授業公開。保護者を対象とした「給食試食会」、PTA活動:あすなろ教室での「食に関する講習会」等も実施しています。
姫路市としては、毎年夏休み中に行う「手作り朝ごはんコンテスト」も家庭との連携を図った事業です。学校で学んだことを家庭で実践できる機会ととらえています。さらに、市民を対象とした「市政出前講座」においても、児童生徒の状況や学校での食育の取り組みを啓発しています。

 

●子供の食生活の変化は、平均寿命や将来の生活習慣病にどのように影響するか。
食は人間が生きていく上での基本的な営みの一つであり、健康な生活を送るためには健全な食生活は欠かせないものです。現在の子どもたちにみられる、食生活の乱れは将来大きく影響してくると思われます。具体的には、偏った栄養摂取、不規則な食生活の乱れが肥満や痩身を引き起こし、生活習慣病の発症、平均寿命低下へと影響すると考えられます。
生活習慣病の低年齢化も指摘されています。
子どものころに身について食習慣を大人になって改めることは非常に難しいことから、成長期にある子どもへの食育は極めて重要です。

 

[100歳体操について] (髙見様)
●女性の参加率が高いは何故か。
従来から健康教室等の保健事業への参加者は女性が多い状況でした。何においても、男性は1人で活動することが多く、女性は集団に入りやすいといった傾向があります。また、男性の方が日頃から運動をしている人が多い(H24.2月「市民意識調査」1回30分以上の運動を週2回以上している人の割合:男42.4% 女30.0%)ということが一因になっていることも考えられますが、参加しない理由についての確認はできていません。お世話をして下さる方は男性も多いので、体操の参加者としてより、何か役割を担う方が参加しやすいということがあるのではないでしょうか。

 

●参加者が集まるまでのプロセスが知りたい。
授業のなかでも少し説明しましたが、まず地域の皆さんに高齢者の現状と課題について話した後、介護予防ツールとして「いきいき百歳体操」を紹介します。地域の代表者の方の集まり等で紹介をしています。自主グループ活動となるため、その後地域の皆さんで話し合ってもらい、その結果実施することになれば保健センター保健師と地域包括支援センター職員が最初の3~4回支援します。
実際に参加者を募っていただくのは地域の皆さんにお任せしています。自治会単位の場合は回覧を回されているようです。

 

●集まった高齢者の間でトラブルが起こった事はあるか。どのように対応したか。
現在のところ参加者間の大きなトラブルはありません。
少し参加者同志の口論があった所があるようですが、体操と直接関係のない部分の事でしたので、支援者側での対応はしていません。

 

●参加者に地域差ができていることに対して対策を行っているか。
グループ数の地域差については、各担当が認識しており、校区担当保健師と地域包括支援センター職員が協力して、地域の方々と話をしながら地域の状況に合わせた展開を考えるようにしています。あくまでも自主的な活動なので、既存のグループがあればそこにアプローチする等、様々な機会を捉えて啓発をし、住民のやる気を引き出せるように努めています。

 

●事業の評価指標はどのように決めているか。
この事業は「市民が何歳になっても自分らしくいきいき過ごすために、みんなが支えあって、健康に暮らせるまちをつくる」という基本目標を達成するための施策です。住民が主体となって地域での健康づくりや介護予防に取り組める人を増やす仕組みづくり(地域づくり)を目標としますので、評価指標を地域健康づくり活動へ参加する高齢者数としています。